突撃!
UO日記Formosa
其之二

第三話
新年快樂!
2000年2月5日

この日は太陰太陽暦の1月1日、つまり旧正月である。
中国系の人たちにとっては太陽暦の元旦と同様あるいはそれ以上にめでたい日なのだそうで、ここFormosaに於いてもそれは例外ではない。

銀行周辺は「A HAPPY NEW YEAR!」「新年快樂!」の文字でギッシリ。Say Forwardマクロで何度でも同じセリフを連発しまくっている。
「快楽」というと日本語ではなにやら背徳的なニュアンスが漂うけれど、中国語では単に「HAPPY」とか「おめでとう」の意味であるらしい。もともとは同じ意味だったのかなぁ。

新年早々PKされたという気の毒な人もおり、装備品一切合財奪い取られてしまったらしく、死人ローブ一丁でしきりにそのことを訴えては援助を募っていた。 (左図)
その手のヤラレ話はYamatoよりもずいぶん頻繁に聞くような気がするが、そんなにPKが多いのか、まだまだ貧乏なシャードなのでPK死の経済的ダメージが相対的に大きいせいなのか。

「我被PK2次><」(次=回数を表す数詞)
「我錢被偸了><」(偸=steal)

「○○は××です」以外の構文などきれいさっぱり忘れた私だが、これだけ繰り返されればさすがに「被」が受動態に関係する言葉だってことがわかってくる。
つらい目にあっておられるご当人がたには悪いけど、ほんと勉強になります。

そんなふうに周囲でのやりとりを見ているうち、買い物のしかたも徐々に覚えた。
とりあえず今ほしい物は、Greater HealとRecallのスクロールだ。この二つはNPCの魔法屋でも入庫不足の出庫過多ゆえなのか、とにかくなかなか手に入らない。
勇気を出して、ブリ銀前で叫んでみる。「我想買Greater Heal 和 Recall卷軸!」(想=will 和=and 卷軸=scroll)
銀行の建物を2周ほどしたところで、「我有Recall卷軸」と申し出てくれた人あり。
価格を聞こうとしたら、逆に向こうから「多少錢?」(いくら?)と聞いてきた。
RecallスクロールのNPC価格は約50gp。PC価格は少し安いのが普通だが、ここはシタデに出た方がよかろうと思い、そのままの価格を口に出してみた。

私「50gp」
相手「60gp」

え…NPC価格より高いの??
一瞬、断るか値下げ交渉するかしてみようかと思ったけれど、結局そのまま支払うことにした。
憶測にすぎないが、この人はたぶん写経屋ではないのだ。私のことを「Recallできずに困っている人」だと思って自ら買い求めたスクロールを転売してくれたのだと思う。
Recallスクロールの有無はときに生死をわかつことにもなりうるわけで、それを快く譲ってくれたこの人にはむしろ感謝しなけりゃいけないよね。うん。

というのも、ここではまだスクロールを書ける人が少なく、また自力で上位の魔法を唱えられない人もかなりいるみたいなのだ。
したがってRecall、Mark、Gate Travelのスクロール御三家は大変に貴重。
どうせそのうちシャード全体のレベルが上がればスクロールの価値も下がってくるわけだから、それを見越して今のうちに儲けようとしているんだろうか。
詳しく市場調査したわけじゃないけれど、例えばある行商人の提示した価格は「Markスクロール5本450gp」というものだった。ちなみにNPC価格は一本70gp前後。
弓作りでカツカツの生活している者には辛い価格だけど、需給バランスで価格が決まるのはブリタニアでもまた道理。公取が文句言ってくるわけでなし、別に悪いことでも責められるべきことでもない。

夜も更けて日本時間午前1時半。
突然、一人の紅衣の騎士が、なにやら叫びながら馬で銀行前の道を城に向かって駆け抜けていった。

「GM説・・・・・・・・・・Lord British皇城・・・・・・・・新年快樂!」(説=say)

セリフは拾い読みしかできなかったが、大体上のような感じ。
つまりブリタニア国王ロード・ブリティッシュが旧正月の挨拶に来る、ということなんだろうか??
なんだか田舎の村長さんみたいな話だが、実際にこの3日ほど前にもYamatoの「徳の神殿」に唐突に御示現なされた陛下のこと。(右図)
決してあり得ないことではない。
しかし月が2つもあるブリタニアで太陰暦に意味があるんだろうか。そういう問題じゃないか。

にわかに周囲が騒然としだした。
これを見物に行かないという手はない。
初期装備の服しかなくて見た目みすぼらしいが、今からわざわざ用意するのももどかしい。貧しいながらも国王を慕う純朴な国民ということにして、そのまま人の波にまぎれ入城してしまった。

城内では赤い服の団体が、騎馬の人はそっち、徒歩の人はこっちと並ぶ位置などをテキパキと指示。うーん、なんか本格的。
全員きっちりと整列し準備万端。国王陛下をお迎えするに恥ずかしくない礼儀正しさである。

数分がたった。
しかし何も起こる気配はない。
じっと立ってるうちに、なんだかだんだん不安になってきた。なんとなく字面からそう思い込んでしまったけれど、もしかしてこれはブリティッシュ公の一般参賀なんかじゃなかったのか?
GMが執り行う結婚式なんてのはよく聞くけど、これもまたGM主催の内輪の儀式だったとか、そんなようなことだって一応考えられなくもない。
言葉がよくわからないというのは不便なもの。
私って今じつはすごく場違いな所にいるんだったりして…。;;;;;

あるいはここにいる全員が勘違いをしている可能性もある。
この前Yamatoでロード・ブリティッシュが演説をしたときも、会場は王城ではなく神殿だった。
今回のイベント(?)のニュースソースがどこなのかよくわからないが、伝言ゲームの過程で場所がすり替わってしまうことはありうる。
ていうか、私もYamatoでは最初まちがえて城のほう行っちゃったんだよね。

そのうち、周囲の人たちも少しずつ騒ぎはじめた。やっぱりこの事態は予定と違うものらしい。
間がもたなくなったのか、赤服の一人が何やらアナウンスをし始めた。
あけましておめでとう、みんなでFormosaを盛り上げていきましょう…みたいな意味かしらん。

ざわざわしてきたのを機に、私はその場を抜け出して神殿へと走った。
この当時Formosaにはまだタウンクライヤーが設置されておらず、リアルタイムの公式ニュースを知ることができない。(サイトがあるのかもしれないけど、その所在がわからない…)
果してどうなっているのかは、行って見てみるしかない。

結局、神殿でもなんらイベントが行われた様子はなかった。
城に戻って並び直したが、退屈でたまらずリュートの練習をはじめる私。まわりもてんでにしゃべったり魔法唱えたりしている。
謁見の間だというのに、どこからか紛れ込んできた狼を血飛沫まきちらしながら殴りつけてるやつもいる。
殺生とは何事ぞ、とばかりにPeaceMakingスキル使ってちょっと邪魔したりもしてみた。(うざかったろうな〜)
そんなことをしているうちに突然リュートが鳴らなくなり、画像も動かなくなった。
もしや…と思ったら案の定

実際Formosaサーバはよく落ちる。
オペレーターが不慣れなせいなのか、日本が昨年やられたようなサーバ攻撃の被害にでもあっているのか知らないが、大体3日か4日に一回ぐらいのわりで落ちてるような気がするぞ。(2000年2月現在)

幸い数分で復旧。
巻き戻りはなかったようだが、まだ魂の抜けてる人がたくさんいるらしく、先刻ほどには会話がない。
そのうちぼつぼつ戻ってはきたものの、誰もかれもがさすがに待つのに飽きてきたらしい。(私だって飽きた)
誰かが何か一言発したのをきっかけに、ドドッと雪崩うつように無人の玉座に群がる人々。
件の紅衣氏は何とか事態の収拾をつけようと、「GMにEメールを送る!」などと叫んでいたが、そんなことしたってどうなるものでもない。

みんなもう口々に勝手なことをわめきだす。
「もうすぐプレゼントが支給される^^」
「全員がGM(GrandMaster?)に昇格」
「黒タブ欲しい」

衣服を真っ黒に染める黒タブは、1999年以降に設立されたシャードには存在しないはずのアイテム。もし本当に貰えたら、それこそ貴重品となるはずである。
ここまで待ったのだから何か一つぐらいいいことがあるはずだという、まるで根拠のない希望にすがりついている自分が情けない。^^;

やがて眠くなった人、玉座に座ったり幕の後ろに隠れたりするのに飽きた人から三々五々散ってゆき、私も適当なところで切り上げた。
結局なんだったのかよくわからない出来事だったけれど、普段あまり馴染みのない旧正月の盛り上がりをわずかながらも感じとることができて、それだけでも十分に面白かったです。
いやホント。

ちなみにOSIからは、FormosaシャードのPC全てに500gpずつのお年玉が届いておりました。



↑お年玉の入っていた紅包(ポチ袋)

 

おまけ:Yamato御行幸の際の、ブリティッシュ様のペーパードール

 

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